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イギリス貧困・救貧法関係文献

Poor law 文献目録 写真

  本蔵書は、本学図書館が文部省の助成を受けて、1989 年度より収集したもので、 1555 年のものを最古として、20 世紀に及ぶ総数 2,000点を超える膨大なものである。それは貧困を中心に社会問題に対する対応を救貧法、慈善事業を中心に、公衆衛生、教育、警察及び少年刑事政策などを加えて、その研究にとって重要な文献・史料の収拾に努めてきた本学図書館の成果である。@救貧法、A司法と福祉、B衛生と福祉、C教育と福祉という大まかな分類で、そのすべてを目録にまとめている。

  イギリスは世界に先駆けて本源的蓄積から産業革命を経過して、近代社会の経済的基礎である資本主義経済を発展させて来た。それゆえに、資本主義経済社会が免れない貧困その他の諸矛盾をも他国に先駆けて経験することになり、それらへの社会的対応においても先進的な経験を蓄積してきた。このことは後進諸国にとってはそうした諸矛盾に直面したときに無視することが許されない学習対象となった。そればかりではなく、こうした先進性は、わが国を典型に、外圧によって資本主義経済社会の発展およびその諸矛盾への社会的対応が大きな影響を受けているのとは異なり、イギリスのそれが他国からの影響より、いわば内在的な諸矛盾・諸力の所産として生起するという特徴を持っていることを意味しており、資本主義社会における経済社会の発展と貧困をはじめとする諸矛盾・諸問題およびそれらへの社会的対応の発展との関係をいわば「法則的に」捉える上での好個の素材を提供するものとなっているという点で注目されてきた。また、資本主義経済の矛盾が第一次世界大戦以後には、世界大恐慌を象徴として、経済の自律性をうしなわせ、国家の支えなくしては経済不況からの脱出もままならなくなり、いわゆる国家独占資本主義の段階に突入し、一方では民主主義の徹底した抑圧と他国の侵略に自国内の矛盾をそらそうとする全体主義国家と、他方では政治的民主主義を維持し、社会政策の強化により打開を図る連合国との間の第二次世界大戦を導き、後者の勝利で、第二次大戦後には「福祉国家」建設の国際的な動向を生み出すことになるが、先進国イギリスは 20 世紀に入ると「斜陽化」の道を歩むことになり、福祉国家建設という点でも先進的な経験を残すことになった。イギリスも世界史における典型ではありえないが、他の先進諸国とは著しく異なった重要性をもつのである。

※『日本福祉大学付属図書館所蔵 イギリス貧困・救貧法関係文献目録』(1999年日本福祉大学付属図書館発行)における「日本福祉大学付属図書館所蔵『イギリス貧困・救貧法関係文献』解説」(日本福祉大学教授 高島進)より。


浅賀ふさ文庫 

 創設以来教授として本学の教壇にたたれ福祉教育に貢献された浅賀ふさ先生は、1986年、92歳でその生涯を閉じられました。先生が戦前アメリカで学ばれ本邦初の医療ソーシャルワーカーになられたことは有名ですが、この他にも戦前は母子保護法の制定に戦前は厚生省児童局の福祉専門官として児童福祉法の制定につくされるなど広く社会福祉の発展に寄与されました。「浅賀文庫」はこうした先生の業績を記念し、本学図書館に設置されました。すべて生前の先生から御寄贈いただいた蔵書です。

  蔵書の範囲は広く、先生の学際的な研究視点を偲ばせますが、とりわけ特徴があるのは、和書では、1940年代から50年代にかけて発行されたケースワーク関係の本があつめられていること、洋書では、アメリカの古い文献があることです。

  分野別では、児童福祉とくに非行問題・医療福祉とくに医療ソーシャルワークや精神医学ソーシャルワーク・家庭福祉とくに家族やケースワークや性や未婚の母親に関する文献などがあります。また、米国家庭福祉協会や米国医療ソーシャルワーカー協会・米国ソーシャルワーク会議・全米社会福祉関係の資料も貴重なものです。(日本学付属図書館発行『浅賀文庫目録』、当時社会福祉学部長・大学院研究科長児島美都子氏による「浅賀文庫のご紹介」より)


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